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白い巨塔

 半沢直樹の後、和製の社会派ドラマをもっと見たいという衝動に駆られ、唐沢寿明主演「白い巨塔」をビデオ屋で借りてきた。

 白い巨塔は、大学病院を舞台に医者たちのドロドロとした権力争いを描いた作品だ。出世のためには手段を選ばない外科医財前と、患者を第一に考え、自分が正しいと思うことのために行動する内科医里見の二人を中心に物語は進んでいく。

 結論から言ってこの作品は非常に面白かった。一話見終わるたびに続きが気になってしょうがなく、夜中に何度もビデオ屋を往復し、あっという間に最後まで見てしまった。権力欲にまみれた人間の醜い部分と、正義を追求する強い意志が、美しく対比された作品だと思った。

 外科医の財前は権力欲に取り憑かれ、自分の政治的立場のためには患者や同僚すら陥れるような男だが、その想いは純粋で、ある種清々しさすら感じるほどだ。また内科医の里見は、常に弱者の立場に立つ、一見「理想のお医者さま」だが、自分の理想を押し通そうとするあまり、自分自身の立場や、家族すらも犠牲にしてしまう。人間としては素晴らしいが、組織の一員や、家庭を守る父としては、手放しに賞賛できないという見方もあるだろう。

 そしてこのような二人が、不思議な友情で結ばれている。私がこの作品で一番心を打たれたのが、この二人の関係だ。二人は事あるごとに対立し、足の引っ張り合いをするが、里見が難しい患者に出会ったとき真っ先に頼りにするのは外科医の財前だし、財前もまた里見の技術を信頼し、自分の作るがん医療センターの内科医として里見を雇おうとする(このとき里見は大学病院を追放され、誰からも相手にされていない状態であるにもかかわらず!)。単純に友情とか、絆とか、一言では言い表せない二人の関係の描き方が素晴らしい。

 物語の中で、鵜飼医学部長が里見に向けて言ったせりふが印象に残っている。
「君と財前くんは、性格も考え方も真反対なのに、どこか似ているねぇ。」

かなり有名な作品だし、今さら私が紹介するまでもないが、もしまだ見たことのない人がいたら是非この作品は見てほしい。見て絶対に損することのない作品だと断言できる。

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